カメラのシャッターってどういう仕組み?

2017年12月2日

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カメラのシャッターはフィルムやイメージセンサに当たる光の量を、光の当たる時間の面からコントローするための仕組みです。

フィルムもイメージセンサーも、光があたっている時間分だけその明るさの情報をため込むことができます。(≒積分する)

同じ明るさの下でも光が当たっている時間が長いと、その分写真は明るく写ります。光の当たっている時間が2倍になると、写真の仕上がる明るさも2倍になるような効果があります。

フィルムやイメージセンサーに光の当たる時間の制御を行って、写真の写る明るさを調節するための仕組みがシャッターです。

このシャッターの仕組みにはいくつかの方式がありますが、今回はそのあたりの仕組みについて説明します。

・機械式シャッター

昔からあるカメラではこちらのシャッターが一般的です。メカ的な仕掛けを使って、フィルムやイメージセンサーに設定した時間分だけ光を通す仕組みです。

この機械式シャッターにもいくつかの形式があります。今の静止画をメインに撮影するカメラでは、ほとんどのカメラが「フォーカルプレーン式」のシャッターを採用しています。

フォーカルプレーン式のシャッターでは、フィルムやイメージセンサーの直前にシャッター幕を置いて、これを開け閉めすることで、光の当たる時間をコントロールします。

「シャッターを開け閉め」というと、シャッター幕が一度全部開いてそのあと全部閉じる、といった動作をイメージされると思いますが、フォーカルプレーンシャッターは見かけ上、幅の狭いスリットがフィルムやセンサーの上下に移動するような形で動作します。

スリットの部分だけ光が通ります。また、スリットが移動して動作しますから、厳密にはセンサーの上側と下側とで光が当たっているタイミングがずれます。このため、ものすごく高速で移動している物体を撮影すると被写体の形が歪みます。

ですが、今のシャッターユニットでそういった歪みが見えることは全くと言っていいほどありません。

上に書いた動作から想像できると思いますが、シャッタースピードは実際にシャッターが動作する時間とはズレてきます。あくまでも、センサーのある1点に光が当たっている時間、という意味になります。

その他、カメラで使われてきたシャッターにはレンズシャッターなどの種類があります。これらの形式では、設定可能なシャッタースピードの幅、特に光を通す時間の短い側の調節幅が、フォーカルプレーンシャッターに比べてずっと狭いため、カメラのシャッターの主役はフォーカルプレーンシャッターに譲る形になっています。

・電子式シャッター

スマートフォンなどのカメラに搭載されているシャッターがこの電子式シャッターです。一部のコンパクトデジタルカメラなどにも採用されています。

こちらの仕組みには、メカシャッターのような機械的な仕組みは不要です。このためカメラの仕組みを思いきり単純化できるメリットがあります。

仕組みとしては、イメージセンサーの画素1粒1粒が光を受ける時間を電子的に制限することで、シャッターを動かしたのと同じ効果を出す仕組みです。

電子的に動作をコントロールできますので、ある画素1粒ずつに関しては、機械式シャッターでは実現できないようなきわめて短い光を取り込む時間(≒シャッタースピード)を実現できます。

ただし、通常のイメージセンサーでは、電子式シャッターがセンサーの端から端まで動作しきるにはある程度の時間がかかります。このため、電子シャッターを採用するスマートフォンなどのカメラで電車を撮影したりすると、大きく電車の形が変形して写ります。

SONY製の一部の高級コンパクトデジタルカメラで採用されたイメージセンサーは、電子シャッターの動作が極めて速く、電子シャッターで動く被写体を撮影しても被写体の形が変形することがありません。

と、こういった特性がカメラの売り文句になるぐらいですので、通常は電子シャッターは動く被写体の撮影には向いていません。