丘の町美瑛で知っておいてもらいたいこと

2017年12月2日

北海道の美瑛町はその美しい丘の風景ですっかり有名な観光地になりました。写真の撮影スポットとしても見事なロケーションだらけです。

海外からも非常に多くの観光客が訪れ、夏の観光シーズンには観光農園としてかなりメジャーになった四季彩の丘には、常時20台近くの大型観光バスが停車しているような状況が生まれています。

観光の人が増えた分、色々な問題も生じるようになったようで、今ではほとんど全ての畑の入り口に畑の中には立ち入り禁止、の看板が立つようになりました。

残念な状況ですが、でも致し方ないことだと思います。

そういった美瑛の丘の風景に関して、ちょっと訪れる方々が頭の隅に覚えておいてただけたら、と思う内容をいくつかピックアップしてみますね。

丘で農業を維持するのはものすごく大変

美瑛の丘の風景は農家の方々のものすごい努力で維持されています。まず、この点を覚えておいていただければと思います。

丘の斜面、斜めに走らせようとすると、当たり前のことなのですが、トラクターは真っ直ぐに走ってはくれません。そんな中できちんとトラクターを運転して畑の手入れをするには特別な高いスキルがいります。

また、丘にある畑は基本斜面になっていますから、ちょっと強い雨が降ると簡単に畑の表面の土が流れ出してしまいます

農家の方々が一生懸命土作りを行なってきた、一番肥えたいい土が流れ出してしまうのです。

ぶっちゃけ丘の形を残したままというのは、農業を営んで行くにはあまり向いていません。重機を入れ丘を平らにならしてしまった方が、農業をする効率はずっと上がります。

農家の方が「デザイン」するパッチワーク

美瑛の丘の風景の魅力の一つは、色とりどりのパッチワーク状の畑の色合いだと思います。緑の作物でも緑が一色にならないよう、キレイな配置になっています。

あれ、偶然にあのような配置になる訳ではありません。

多くの畑作物は同じ畑で何年も同じものを作り続けると、特定の土の養分だけを吸い尽くしてしまったりして、病気になりやすくなったり成長が悪くなったりする影響が出ます。

これを避けるためにいくつかの作物でローテーションを組んで植え付けを毎年順番に変えていくのですが、その植える作物の場所を周辺の農家さん同士で話し合って、パッチワークがキレイに見えるように調整を行なってくださっているはずです。

キレイなパッチワークは農家さんたちのデザインによるものなのです。

畑に一般の人が踏み込んでしまうリスク

一般の人が畑に踏み込んでしまうのには、実は大きなリスクがあります。畑の作物を踏み荒らす、というだけのことではありません。

いつの間にか靴の裏に病原菌や病害虫を付けて畑の土にばらまいてしまう危険性がある行為なのです。

私有地に踏み込むこと自体が元々良くない行為ですが、それ以上に大きなリスクを孕んだ行為であることは意識しておいたいただきたいと思います。

ランドマークの木々は私有地にある

美瑛の丘の風景のランドマークとなるカッコイイ木がいくつも有名になっていますが、あれらの木も基本的には農家の方々の畑の真ん中、私有地の中にあります。

遠くから撮影するのはかまわないのですが、私有地の中にまで踏み込んで行くのはこちらも基本厳禁です。

ああいった木々は元々は農家の方々が自分の家の畑の境界の目印として植えられたものだと聞きます。ですので、ロケーションが私有地、畑のど真ん中、と言うことになる訳ですね。

農家の方は観光客が増えても直接収入にはつながらない

美瑛の農家の方々の直接の収入源は畑で取れた作物が源です。観光客が増えても農家の方々の収入が直接増える訳ではありません。

美瑛選果といった直営店で美味しい農作物の直販や、美瑛の産物を使ったレストランなども運営して、観光客の目を通じて美瑛ブランドの定着を図っていたりはしますが、それで観光客の増加は直接農家の方の懐事情を改善してくれる訳ではないのです。

そんな状況でも、美しい美瑛の丘の風景を維持し続けてくれる農家の方々に対するリスペクトを、どこかで持っていただけたらうれしいなと著者は考えます。

日本には里山や棚田などの素晴らしく美しい風景がありますが、ああいった存在と同様に、美瑛の丘の風景も人の手をかけることで初めて生み出されている大切なものです。

このことも頭の片隅にでも覚えておいていただければ、現地での景色の見え方もちょっと変わってくるかもしれません。