パノラマ合成でいつもとひと味違う写真を作ってみよう

2017年12月2日

フィルムカメラ時代に一時期、パノラマ風の横長写真が流行ったことがありました。

ですが実際には当時の横長写真は、普通のカメラで1発撮りした写真の上下をカットするようにトリミングしただけのものでした。

本来のパノラマ撮影は専用のちょっと特殊なカメラが必要で、一般ユーザーが手軽に手を出せるジャンルではありません。

ただ、今は写真がデジタル化してそのあたりの事情にも変化が出てきています。

スマートフォンではジャイロセンサーとカメラの機能の組み合わせで、本来のパノラマ撮影の方法に極めて近いやり方で本当の意味でのパノラマ写真を撮れる機種が増えてきました。

また、一般的なデジタルカメラも複数の写真を合成することで、本来のパノラマ写真にかなり近い画像を仕上げることも可能になっています。

今回は、デジタルカメラで撮影した写真を使ってパノラマ合成をする際のコツなどをまとめます。

パノラマ合成とはなんぞや?

まず最初にパノラマ合成とは、という基本部分から説明しましょう。

縦に長い写真でもありなのですが、一般的には横方向に広い、あるいは長い被写体をうまく1枚の画像に納めるためにカメラをパンしながら複数枚の写真を撮影し、後処理でそれらの写真を結合させて1枚の画像を仕上げる方法です。

画像をつなげる際の位置合わせなどのために、隣り合う写真の間で重複して撮影する範囲を作っておく必要があります。

パノラマ写真をキレイに仕上げるコツ

パノラマ合成写真をうまく仕上げるコツを一言でまとめると、画像をつなぎ合わせる境目をいかにスムーズに出来るか、この一点に集約できると思います。

このため、露出はカメラのマニュアルモードを使って固定するのが基本になります。

カメラの向きを変えたときに光線状態などの変化で露出の設定が変わって青空の濃さなど、写真のトーンが変化するのを防ぐためです。

また、厳密には色合いの変化を抑えるためにオートホワイトバランスも切って、プリセットホワイトバランスや色温度指定のモードを利用する方が安全です。

さらに、レンズの周辺減光も写真のつながりを不自然にする要因ですので、十分に絞り込んで周辺減光を消しておきます。レンズで補正しきれない場合には、後処理で修正を行なうとさらに仕上がりが良くなります。

また、カメラを上下に振ってパースがかかった状態になると、仕上がった写真に不自然な歪みが出やすくなります。これを防ぐためにカメラは基本上下方向には水平を保ちましょう。

レンズはパースのかかりにくい望遠レンズ側を使う方が自然な仕上がりになりやすいでしょう。また、レンズの図形歪み収差もできるだけ少ないレンズを選ぶ方が良いです。

さらに厳密には..

さらに精密なパノラマ合成を行なうには、カメラをパンする際の中心位置にも注意をしなければならないようです。

レンズの光学的な中心位置を軸にカメラをパンしないと、合成時にわずかな歪みが出るのだそうです。

本格的な作品作りの際にはこちらの注意も必要になってくるでしょう。

ですが、お手軽に雄大な山脈を一枚の写真にまとめたい、程度の撮影ならば、そこまでのこだわりは必要ありません。プラスαのオプションとして覚えておけば良い程度です。

合成はフォトレタッチソフトなどで

有名なAdobe社のPhotoshopなどには、PhotoMergeというパノラマ合成用の機能が搭載されています。こういった機能を活用して、撮影後に写真を結合してパノラマ写真を作成します。

キヤノンのカメラのユーザーならば、厳密な画質面は少し妥協することになるかもしれませんが、位置合わせなどをかなり賢く自動で行なってくれるPhotoStitchというユーティリティもあります。

合成を楽にするには写真の継ぎ目に目立つオブジェクトを配して、両側の写真にそれをしっかりと入れておくのが良いでしょう。

自然の風景には思いの外、普通のカメラの縦横比では捉えきれない情景がたくさんありますので、パノラマ合成も活用して風景写真を楽しみたいですね。