EF-M初の大口径レンズ、EF-M32mm F1.4 STM

キヤノン EF-M 32mm F1.4 STM※EF-Mレンズ (ミラーレス一眼用) EF-M3214STM

今、キヤノンと言えば35mmフルサイズミラーレス一眼のEOS Rの話題一色、という雰囲気になっていますが、同時にこっそり(?)EF-Mマウントの新レンズも発表されています。

RFマウントの登場で存在に微妙な雰囲気も生まれそうなEF-Mマウントですが、そのEF-Mマウント、EOS Mシリーズの存続にちょっとした意味を持ってきそうなレンズが今回ご紹介するEF-M32mm F1.4 STMです。

EF-M初の大口径&標準レンズ

EF-Mマウントレンズはキヤノンのミラーレス一眼に対するスタンスの関係もあってレンズラインアップの整備が遅れています。

一応最低限と言えるラインは揃ってはいて、超広角、標準域、望遠ズームまでEF-Mマウント専用品だけで一応はカバーが出来るようになっています。

今までのEF-Mレンズで最も明るいレンズだったのは、換算35mm相当となるEF-M22mm F2 STMでした。

この辺りにはEF-Mマウントレンズの設計ポリシーが制約になっている部分もあります。これまでに発売されているEF-Mマウントのレンズは全て最大径が統一されています。しかもかなりスリムな方向で。

このため本当の大口径レンズの設計・製造はちょっと難しい部分が出ていたのだと思います。

そこにようやく、と言っていいかもしれませんが、今回取り上げるEF-M32mm F1.4 STMが登場しました。開放F値が1.4とようやく本格的な「大口径」と呼べるレンズの登場と言えるでしょう。

一見中途半端な焦点距離32mmも、キヤノンのAPS-Cサイズセンサーの換算倍率1.6倍を乗じると51mm相当になり、ちょうど標準レンズの焦点レンジになります。

今まで存在しなかったEF-Mマウントレンズの穴を一つ埋めることが出来るレンズの登場となります。

ユニークなレンズ構成、優秀な光学性能

EF-M32mmはミラーレス一眼ならではのショートバックフォーカスを有効活用して、従来の標準レンズのイメージとは全く異なるレンズ構成を取っています。

35mmフルサイズで標準レンズというと、基本はダブルガウス型、という印象が強いですが、このレンズの構成は全く別物。従来のレンズのタイプの範囲には収まらない独特の構成になっていると思います。

うち一枚はガラスモールド非球面レンズを採用していて、なかなか贅沢な構成のレンズになります。

そのせいか光学性能の方はかなり優秀そうで、製品情報ページで公開されているMTF曲線を読む限りは、絞り開放からかなり周辺に近いところまで非常にシャープな像を結びそうなレンズになっています。

また、MTFの曲線の放射方向と同心円方向のカーブがあまり離れていませんので、ごく周辺部を除けばかなり美しいボケを作ってくれるレンズになりそうです。

今あえてマニアックなEF-Mレンズを出す意味

35mmフルサイズ対応のミラーレス一眼を登場させることでキヤノンはEF-Mマウントを収束させる方向なのかと考えました。

ですが、同じタイミングでこのレンズを発表したことで、少なくともまだしばらくはキヤノンはEF-Mマウント製品もサポートしますよ、との意思表示を行なったように見えます。

さらに、大口径の標準レンズというややマニアックな1本を出したことで、EF-M製品でも本格的に写真に取り組むユーザーを見捨てません、という意図も一緒に出したかったようにも思います。

小型のミラーレス一眼はスマートフォンのカメラでは物足りなくなったユーザーがアップグレードのパスの一つとして検討する可能性があるカメラです。スマホカメラを使ってきた人たちほど、より本格的なカメラの高画質や絵作りの性能を強く求めている可能性もあります。

キヤノンのRFマウントやニコンのZマウントでは、小型のミラーレス一眼の実現はかなり難しいでしょう。なのでキヤノンはEF-Mマウント製品を「レンズ交換可能な高級コンデジ」的なポジションに位置づけて継続を選んだのかもしれません。

大注目なのはRFマウントの方でしょうが、EF-Mマウントの今後にも少し注目する価値がありそうです。