タムロンSP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD G2のピント微調整の実際

前回タムロン最新の150-600mmズームレンズである「SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD G2」のレポートの中でも触れましたが、うちに来た個体と著者が使っているカメラであるキヤノンEOS 7D MarkIIの間にはピントの相性問題がありました。

無限遠に近い遠距離だと問題はないのですが、中間距離、近距離でやや奥ピンになる傾向が見られたのです。

どちらの距離でもキチンとピントが合った部分のシャープさは極めて優秀で、ピントがずれている分だけ見た目で損をしていました。わずかなピンボケがレンズのシャープネスの低さに見えてしまうのです。

これを是正するために今回タムロンのレンズ調整用のオプションであるTAP-in Consoleを購入して実際にピントの微調整を行なってみました。

すごくシンプルなデバイス

タムロンのTAP-in ConsoleはシグマのUSBドックと同じ働きをするオプションですが、カタチ・仕組みは非常にシンプルなものになっています。

見た目はレンズキャップそのもの。ただマウントにキチンと電子接点があり本体の横にはミニUSBコネクタがついていてパソコンとの接続が可能になっています。

PCとレンズとの間の通信を可能にしてピントの微調整だけでなく、いくつかのレンズ動作のパラメータの調整やレンズのファームウェアのアップデートを行うことができます。

調整の環境作り

レンズのピント微調整を行なうためにタムロンの公式サイトから専用ソフトの「TAP-in Utility」をダウンロードしてインストールする必要があります。

ユーティリティのダウンロードページのURLはこちら。

https://www.tamron.co.jp/software/ja/tapin/

インストールはごく一般的なデスクトップアプリと同様。特に設定も必要なく簡単に実行できます。

続いてTAP-in ConsoleをPCにUSB経由で接続。さらにマウントにレンズを装着します。

続いてPC側でTAP-in Utilityを起動してやります。画面はこんな感じのとてもシンプルな作りです。

画面を見て分るとおりレンズのズームレンジのうちいくつかとピントを合わせる距離いくつか、それぞれのポイントでフォーカス特性の設定が行えます。

SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD G2の場合にはズームレンジが6ポイント、ピント位置はそれぞれ3つのゾーンで微調整を行ないます。

かなり詳細に設定が行える印象です。

ピント微調整の実際

と大上段振りかぶったような見出しですが、実際に行なう操作はとてもシンプルで簡単なものです。

設定できるポイントが結構ありますので一見操作が面倒に見えるかもしれませんが、複数のポイントの撮影を一気に行なって一度に確認を行なえばいいだけのお話ですので、実際の調整の手間は大したことはありません。

ピントのズレが気になっているエリアで撮影を行ない、それをパソコンに取り込んでピントを詳細にチェック。ズレをTAP-in Utilityで調整してレンズに書き込み、もう一度撮影を行なってピント位置を確認する、これを何度か繰り返してやるだけです。

多少の手順を踏むことになって、少しだけ手間はかかりますが行なう操作などに全く難しい点はありません。

何度かピント位置を前後に調整してテスト撮影を繰り返せば、どのレンジでもバッチリオートフォーカスでピントが来るようになります。

ちなみにピント位置の微調整は前後20段ずつのステップがあるのですが、1ステップずらすと何cmピント位置が動く、といったような目安はありません。ですので実際に撮影を行なってピント位置がどう変化したかを毎回確認する必要はあります。

ただ、調整でいじっているうちにだいたい1ステップ動かせばこれぐらいピンチ位置が動く、というのは見えてくるものです。

実際にはそれほど時間と手間がかかる作業ではありません。なにより効果の方は絶大ですので、少しだけの時間と手間をかける価値は十分以上にあります。

結果

調整を行なった後の中間距離での撮影結果がこちら。

ピント精度がググッと上がって写真の見栄えが一気に向上しました。

レンズの光学性能自体はやはり見事であり、ピントさえ合えばとても10万円+αで購入可能な600mmに手が届く超望遠ズームレンスとは思えないほどの描写を見せてくれます。

フォーカス速度もそこそこ速く手ぶれ補正の効きも良好。カバーする焦点距離のレンジを考えれば重量面も十分許容範囲のレンズです。

各所のレビューもピント微調整の必要性が知られていない結果、レンズ本来の性能が出ていないピンボケ画像での判断による「もったいない減点要素」が含まれたものの可能性があると思います。

実際のレンズの光学性能を考えればもっと高く評価されていい1本ではないかと思います。

本気でSP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD G2をしっかり活用しようと思ったら、レンズと一緒にTAP-in Consoleを購入してまず最初にピントの微調整から入るのが筋と言えるのかもしれません。

まあ、そういった(本来は追加の)操作なくバリピンの写真が撮れるのが理想と言えば理想ではあるのですが、サードパーティ製レンズと言うこともあって厳密な調整は難しい部分を残しているのかもしれません。

また、ややオタク的視点から見ると、従来ユーザーが踏み込めなかった領域に誰でも入り込めるようになるデバイスがこのTAP-in Consoleです。著者個人的にはこの調整はとてもワクワクして楽しいものでした。