今年もやって来た春の使者、近場で白鳥を
北海道は冬が寒い分、それぞれの季節のギャップがとても大きくかなりハッキリした四季を感じられる土地柄です。
さらに冬が長いので他の三季が短め。特に春と秋は駆け足で大きく様相が変わっていきます。その様はなかなかにダイナミックですよ。この土地に住んでいないと感じられない独特の季節感でしょうね。
あっという間に雪が溶けていき初春の花の色合いが現れ、どんどん緑に変わっていく様子はなかなかの見物です。
そんなうちの地域の春と秋の季節の使者の一つは白鳥です。渡りの途中、うちの町の周辺の旧河川、三日月湖などで羽を休め、雪が消え始めた田んぼで栄養補給をするのです。

今年もたくさんの白鳥が現れましたので、先日近場の三日月湖周辺に撮影に行ってみました。
士別市多寄地区の天塩川の旧河川
毎年著者が白鳥を見て撮影しに行く場所は、お隣町の天塩川の側にある三日月湖です。
今は大々的に改修が行なわれてものすごく立派な、水害なんて起こしそうにない堤防に囲まれている天塩川ですが、かつてはこの川もいわゆる「暴れ川」でした。そのなごりとして流域のあちこちに三日月湖が残されています。
そういった旧河川はだいたいは水鳥などの楽園になっていることが多く、今回訪れた場所も最大500羽以上の白鳥、数万羽レベルのオナガガモが訪れる場所になっています。

その三日月湖を夜のねぐらとして、白鳥は昼間には雪が溶けかけで水が残る田んぼに出かけて食事をします。どうやら去年作った稲の根っこを掘り出して食べているようなんですよね。
このため完全に乾燥してしまった田んぼには寄りつきません。まだ、雪が多少残っていて水、泥が残っている田んぼに白鳥が集まります。
水が残っていて土が軟らかそうでも畑には行かないようなんですよね。緑の葉が出ている秋まき小麦の畑にも寄りつきません。
そのあたりはちょっと面白いです。
今年は雪解け時期に気温が上がって天気がいい日も続きましたので、予想よりずっと早くに田んぼの雪解けと乾燥が進んでいました。
いつも見に行くうちの町の田んぼは雪解けが早くすっかり乾燥していて白鳥は全くおらず。その代わり少し雪解けが遅い隣町の田んぼの方にいました。
ちなみに恐らくうちの町は日本の現時点での稲作の北限に近いロケーション。作っているのは、ごはんとして食べるうるち米ではなくほぼ100%お餅にするもち米です。
でもマジョリティはオナガガモ
著者が撮影に行く場所は隣町が「白鳥の宿」と名付けていたりしますが、最近はあまりプロモーション的なことはやっていない模様。あまり人が集まることもないですね。
1シーズンに数度ぐらい近くの幼稚園の子ども達が観察にきたり、福祉施設の利用者さんがみんなで見に来たりするぐらいです。
で、今この場所の主な「利用者」は白鳥ではなくオナガガモの方になっています。こちらの飛来数はなかなか半端ないレベルになっていて、恐らく著者が住む町の人口よりも多いでしょう。確実に数万羽レベル。

それがさほど広くはない三日月湖に集まりますので、鳥の人口密度ならぬ鳥口密度(?)はものすごいことになります。巣作りをしていないせいかあまり縄張り意識みたいなものはないようで、多くの鳥たちが肩を並べるように近い距離感で泳いでいます。
何かのきっかけで一斉にオナガガモが飛び立つ様子は凄い迫力ですよ。その様子はまさに叢雲のごとく、です。