ヤチブキ(エゾノリュウキンカ)と春の使者
いつでも北海道の春は日本の他の地域に比べるとずっと駆け足で季節が進むのですが、今年はより一層そのスピードが速い感じです。
ゴールデンウィークの前半に非常に寒く天気が悪い日が続きましたので、そこで一度季節の進みが足踏みをしました。その後、一気にどーんと気温が上がったのでタイミングが合った花たちはそこでいっぺんに開花から満開まで状態が進んでしまったのです。駆け足どころか全力疾走みたいな感じで。
寒さに強い花は気温が低かった間にも開花が進んでいたようで、ヤチブキことエゾノリュウキンカや水芭蕉は天候が回復したあとにはもう満開を少し過ぎているぐらいの咲き具合になっていました。
これらの花をいつもの場所にスナップに行ってみました。
雪解け水も既に終了ずみ
ヤチブキはまだ周辺に少し雪が残っているぐらいの時期から見頃を迎える早春の花です。湿地や水辺を好む植物で、手がすぐに痛くなるぐらいのすごく冷たい水の中でも元気に成長して非常に鮮やかな黄色の花を付けます。
今年の北海道は降雪量が少ない地域が多かったのですが、3月からこっちの気温の上がり具合が早く雪解けはすごく順調に進みました。その関係もあっていつもヤチブキを撮りに行くポイントもすっかり雪は消えていて、水の流れる小さな沢も完全に普段通り。雪解け水の影響はゼロの状態になっていました。

水辺に咲く花ですから、ちょっと多めの水とあわせると絵になりやすいのですけれどね。今年はそのシーンは逃してしまったようです。
もう一つの春の使者
北海道の春に姿を現す蝶、春の使者の一つとして上げられるのがヒメギフチョウです。
何年か前には初春の時期に捕虫網を持って走り回る人の姿を見たこともあります。あの人達はこの蝶が目当てだったのかもしれません。
そのヒメギフチョウ、恐らく孵化したてではないかと思われる個体をたまたま見つけることができ、写真に収めることが出来ました。

とにかく羽根がすごくキレイでどこも痛んでいない様子だったのと、撮影した画像を家に帰ってきてよく見てみると一部まだ開ききっていない部分があるようにも見えるのですよね。
かなり接近して撮影しましたが逃げる様子が一切なく、むしろ羽を大きく広げて羽根が開ききるのを待っているようでもありました。あるいは、太陽の光の暖かさを吸収しているような。
非常に美しい蝶ですね。
すごく典型的な「ヤチブキらしい」株
今回はヤチブキの特徴をすごく典型的に示す1株を見つけて写真にすることが出来ました。
この植物、花がすごく「変」なのが大きな特徴の一つです。
同じ株の中でも花びらの枚数がぶっちゃけ「デタラメ」なのです。
花びらの枚数がバラバラ。本当は一体何枚の花弁を持つのが正しいのか分らないぐらいにバリエーションがあるのです。
その典型例的に見つけた株がこちら。

分る範囲で少なくとも5枚から8枚の花が揃っています。
この株だけではなく5~8枚の花びらの間なら、あちこちに花びらの枚数のバリエーションを持った花がごくごく普通に点在しています。この株だけが特異例、って訳ではないのです。
何故こうなっているのか、不思議な植物です。
水芭蕉も大増殖
今回行った自然公園の中の小さな沢には砂防ダムも造られているのですが、その内側、流れてきた土砂がたまって出来た湿地には水芭蕉があります。これも条件があっているのかすごく数が増えていました。

開花のピークはかなり見事な様子が見られます。