カメラの絞りって何?
一般的なカメラには「絞り」と言われる機械的な仕組みが備わっています。絞りをごく簡単に説明すると、レンズを通過する光の量を減らす遮蔽板、ということになります。この仕組みをうまく利用して、写真の明るさをコントロールするのが本来の目的です。
ですが絞りにはこのほかにも写真に影響が出る作用を持っています。そのあたりも含め、絞りについて少し説明します。
・穴の空いた板ならなんでも絞りの役目を果たすけれど
実は、レンズの直径よりも小さな穴の空いた板があれば、どんなものでも絞りの役目を果たします。実際に以前、フィルムカメラの時代には、丸い穴の空いた板を交換することで、絞りを変化させる仕組みのカメラもありました。
ですがこれは例外中の例外で、通常は5枚~9枚程度の羽型の板を組み合わせて、連続的に中央部の穴の大きさを変えられる仕組みを用いています。
この仕組みは一般的には「虹彩絞り」と呼ばれています。人間の瞳のなかの虹彩と同じような役目をします。
仕組み的にあまり場所を食わずに作ることが出来るのと、連続的にかなり細かなステップで中央部の穴の大きさを変えられるというのが、虹彩絞りを使うメリットです。
ちなみに、スマートフォンや携帯電話のカメラには、絞りの仕組みがないことが多くなっています。こういったカメラでは、感度とシャッタースピードだけで写真の明るさをコントロールします。
・絞りの指標になる数字はちょっと変わってる
絞りがどれぐらいの状態になっているかを示す値は、F値という数字が用いられます。この数字は元々は、レンズの口径と焦点距離の比を表す「口径比」という数字から来ています。
これに対して光を通す量は絞りの穴の面積に比例しますので、F値の数字と通過する光の量の関係はちょっと面白い数字になっています。
F値の代表的な数字は、以下のように1.4(ルート2)刻みの数字です。
1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32・・・
F1.4から絞りをF2に変えると、レンズを通過する光の量は1/2になります。慣れるまではちょっとわかりにくいですが、レンズを通る光の量はF値の2乗分の1に比例するようになっています。
・絞りが変わるとピントが合う範囲も変わる
絞りは本来写真の明るさをコントロールするための仕組みですが、絞りを変えると明るさだけではなく、ピントが合っているように見える範囲も変わります。
F値が小さい側の絞りを使うことを「絞りを開ける」、F値が大きくなるように絞りを変えることを「絞りを絞る」というのですが、絞りを絞ると、画面の中でピントが合っているように見える範囲が距離の前後方向に広くなります。
絞りを開けると、逆に狭くなります。ピントを合わせた場所からちょっと前後に外れると、ぼけてしまうようになります。
これを写真の画面内の絵作りに使ってやることも出来ます。